おかげ様で前回記事にて紹介しましたアントラーズ応援セール、盛況のうちに各店舗さんご協力の元、実施させていただくことが出来ました!
(「うまごや」さんは16日まで継続されるそうです)
また、応援セールの元々の出発点であった、ホームカシマでの鳥栖戦も2-0での見事な勝利となりました!(特に2点目のエヴェラウド選手のゴールは、そこに至るまでの崩しの鮮やかさも含めて見事なゴールでした!)
さて、今回はタイトルの通り、銘柄豚肉と国産豚肉について少し書いてみようと思います。弊社の「まごころ豚」も広く括れば「銘柄豚肉」の一つでもありますし、もっと広く括れば日本国内の茨城県産なので「国産豚肉」の一つでもあります。
食肉通信社発行の『銘柄豚肉ハンドブック2020』によれば、日本全国で各種銘柄豚肉の取り組みは、そのブランド数いまや400以上にもなるそうです。当然と言えば当然なのでしょうが、そもそもブランドの数自体が400以上にもなると、「色々な名前を見るけれど何が違うのか分からない」という一般消費者の声も良く聞きますので、改めて、弊社の「まごころ豚」含む銘柄豚肉は何をもってそのブランド価値をアピールしているのか。少し整理してみようと思います。
種豚による差別化
これはある程度分かりやすく、想像しやすいと思います。品種的な違いを打ち出しての銘柄化ですね。代表例としては知名度も高い、鹿児島県が県を挙げて取り組んで育ててきたブランドである「かごしま黒豚」。通称「黒豚」と呼ばれるバークシャー種、またその中でも「アメリカバークシャー種除く」というところまで限定した管理をされています。その他の種豚による差別化事例として、中ヨークシャー種で特徴づけをされているブランド、沖縄原産の在来種豚である「あぐー」種によって特徴づけをしたブランド、金華豚や満州豚といった中国在来系品種を使ったブランド、等々が挙げられると思います。
飼料による差別化
これもまた概念としては分かりやすいと思います。「食べさせている飼料が違うから、出来上がりの肉も違うんだ」という差別化ですね。代表的な事例として、飼料米給与豚肉の先駆け的ブランドである平田牧場さんの「日本米育ち 平田牧場三元豚」、フリーデンさんの「やまと豚米らぶ」、などが挙げられると思います。(ちなみに弊社の「まごころ豚」も飼料米15%給与が飼料の一つの特徴ですが、こちらの2銘柄は新規需要米政策が根付く前からの取り組みですので、リスペクトですね)
その他にも、麦系の原料にこだわってブランド化されていらっしゃるブランドも数多くありますし、飼料原料として最も一般的であるトウモロコシを肥育後期に全く使わないといったブランド、あるいは給与量としてそう多くの量ではない微量原料を用いての差別化事例などもあります。
管理方式による差別化
こちらの分類での代表事例としては、いわゆるSPF豚などがあげられると思います。SPF豚はそれ自体で一つの銘柄名ではなく「〇〇SPF豚」といった形で呼称がついている事例が多いです(詳細は日本SPF豚協会さんがまとめてくれていますので、こちらを)。他にも、「抗生剤完全不使用」管理方式を謳った銘柄や、「放牧飼育」方式を謳った銘柄などがここに分類されるかと思います。
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実際には上記3分類に単純に分類されるだけでなく、これらの要素を組み合わせて特徴を説明して差別化していくといった取組みがされています。例えば弊社の「まごころ豚」も
「自社GP農場で厳選された自家産種豚によるWLD生産体系」(種豚の部分)
「国産飼料米15%と地元・鉾田市産も含む国産甘藷などを配合した指定配合飼料の組み合わせによる」(飼料の部分)
「GP農場・繁殖農場・肥育農場とサイト分けした衛生管理と、開放的なオガコ豚舎でのバイテク肥育による一貫生産体制」(管理方式)と、3要素を組み合わせた形で説明していますが、それぞれの要素詳細を説明し出すとまた長くなりますので、これはまたの機会に。
銘柄豚肉のまとめとして、これらの3分類が代表的な分け方として銘柄豚肉は生産されていますので(あるいはその組み合わせ)、お近くのスーパー等で「〇〇豚」や「〇〇ポーク」と銘打たれた銘柄豚肉を目にされたとき、またネット販売などで何かしらの銘柄豚肉を見かけたときは、「種豚が特別なのか」「飼料が特別なのか」「管理方式が特別なのか」といった視点で見ていただけると良いのかなと思います。どの銘柄を生産されている生産者さんも「良くぞ注目してくれました!」と喜ばれると思います。繰り返しますが、その数400以上という銘柄豚肉が全国には有ります。是非、弊社の「まごころ豚」は勿論のこと、その他の銘柄豚肉にも注目して見ていただければと思います。
今回のもう一方のテーマ「国産豚肉」
では、ここまで書いてきたような「銘柄豚肉」ではない、一般にスーパーで「国産」とシールが貼られている豚肉。こちらが、色々な形で肉質向上に取り組む銘柄豚肉と違って、いわば何の特徴もない豚肉なのか。というと、そんなイメージで捉えてしまわれると勿体ないと思いますし、「国産豚肉」には「国産豚肉」の良さがあると思っています。その「国産豚肉」括りでの魅力というものを少し書いてみたいと思いますし、また、自分たちは「まごころ豚」という「肉質にこだわった銘柄豚肉」を生産していますが、生産全量が「まごころ豚」になるわけではなく、一般の「国産豚肉」扱いで消費者の皆さんに届いている部分もあるので、これも重要な分類だと考えています。
「国産豚肉」は高い安全性の指標を持つ豚肉
日本で養豚業を「業」として営んでいこうとすると、様々な法規制の枠組みの中で活動することが求められます。CSF(豚熱)関連でニュースに良く取り上げられた「飼養衛生管理基準」は「家畜伝染病予防法」という法律ですし、抗生剤やワクチンなどの動物用医薬品は「薬機法(旧:薬事法)」や農水省令など、万が一に定められた休薬期間に違反して豚を出荷してしまった場合は「食品衛生法違反」になり、日本では「と畜場法」に基づき獣医師が資格者として「食肉衛生検査」を行っています。漢字の羅列な苦手な方はこの列挙だけで「何のこっちゃ?」となってしまったかもしれませんが、簡単に言うと、我々養豚事業者からすると「もっと融通を効かせてくれたって良いじゃないかー」と感じてしまうほどに、何重にも食肉としての安全性を担保するための各種法規制の縛りの中で「国産豚肉」は生産されています。
「銘柄豚肉」vs「国産豚肉」、ではない
ここまで読んでいただいてきた方は既に、この小見出しにつけた私のスタンスを感じられていたかもしれませんが、そのこころを以下書いてみたいと思います。
たとえば本当に肉質にこだわって、あえて生産原価が通常の何割増しでかかるような銘柄豚肉を生産されている生産者が「日本の豚肉なのに、あんなに低コスト生産ばっかり気にしてやりやがって。あんなやり方じゃ良い肉質にならないぞ。」とライバル視して、「うちの銘柄豚肉は一般の国産豚肉とこんなに違う」と、半ば一般国産豚肉disまがいの情報発信をしてまで自社豚肉の差別化に一生懸命になるのが適切か…。「vs一般国産豚肉」という一点だけを取れば確かにそれで「違い」は出せるかもしれませんが、もっと大きな視点で見た場合、これは如何でしょうか。
『日本農業新聞』記事によると、2019年度の豚肉自給率は過去最低を更新して48.6%にまでなってしまったようです。つまり、日本国内での豚肉消費の国産由来は半分以下になってしまっているということですね。こんな状況で、国内の生産者同士で自社銘柄豚肉のアピールをしたいがために「こっちが本物、あっちは〇〇」みたいな狭い世界での「コップの中の嵐」みたいなことをしている場合では無いと心底感じる次第です。肉質にこだわって生産する「銘柄豚肉」生産者も、一般豚としての「国産豚肉」生産者も、それぞれが個々に、また皆で協力して日々の生産を頑張っていくことと、合わせて消費者にも「銘柄豚肉」も含む「国産豚肉」全般の魅力を理解していただいて、せめて何とか頑張って5割以上復帰を達成したいものです。
【インスタグラムで開催】俺たちの豚肉を食ってくれ!2020
さて、そのような国産豚肉全般の消費拡大に向けての取り組みとして、JPPA(日本養豚協会)が例年、都内でイベント開催してきた「俺たちの豚肉を食ってくれ!」ですが、今年はコロナウイルス騒動の余波もあり、実会場でのイベント開催は難しそうだとの状況を受けて、今年はインスタグラム上でのキャンペーンイベントとして開催しています。
第一弾は弊社から常務取締役・石川が企画実行委員として参加して、弊社の「まごころ豚」も提供させていただきました。
弊社の「まごころ豚」含む上記の第一弾企画は8月5日で期限終了となりましたが、これから毎月開催として8カ月間継続する企画で行われます。実会場で集まってのイベント開催は出来ないということで、かえって各生産者がアイデアを出し合って積極的な試みを反映させてのイベントになってきているようです。
ポークマンJPPAインスタグラムアカウントをフォローして、毎月発信される情報を見ながら参加していくことによって、各地方の生産者の豚肉が当たってゲット出来るというお得な企画ですので、是非皆さんインスタグラムアカウントをフォローの上、ご参加してみてください!
ポークマンJPPAインスタグラム
【インスタグラムで開催】俺たちの豚肉を食ってくれ!2020 特設ページ
「俺たちの豚肉を食ってくれ!2020」企画紹介も含めて長い記事にはなりましたが、是非、弊社の「まごころ豚」を含む各種の銘柄豚肉、また「国産」シールが貼られた国産豚肉全般も含めて、日本国内で生産出荷された豚肉を店頭や通販で手に取って食べていただければ幸いです。
また、長々と他社さんのブランドまで含む日本養豚・豚肉全般をあれこれと語るような内容にはなってしまいましたが、決してどこの何もdisってはいない、国産豚肉全般のPRを目的とした「私説」として書いてみたものですので、「お前の書いてることはここが間違ってるだろ」という部分があればご指摘ください。